PC閲覧推奨レイアース&デジモン二次創作小説blog。
カテゴリー
プロフィール
HN:
華乃都(かのと)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1985/09/25
職業:
船医
自己紹介:
このサイトは『レイアース』『デジモン』をメインとする二次元小説サイトです。原作や作品の関連団体とは一切関係ありません。
*ご覧になられる方はまずカテゴリの「AKIKANとは?」を一読ください。
*ご覧になられる方はまずカテゴリの「AKIKANとは?」を一読ください。
カウンター
現在キリ番よるリクエストは受け付けておりません。
ブログ内検索
最新コメント
[06/26 華乃都]
[04/12 3児の母]
[05/11 華乃都]
[04/27 テン?あくの?]
[01/18 華乃都]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
続↓
「フェリオ!!」
今にも泣き出しそうな顔で、風が城内にある医務室の扉を開けた。
「フウ…」
彼女の名を呼んだのは、入り口の近くにラファーガと並んで立っているカルディナだった。
しかし、風が彼らを見る事はなく、今の彼女に確認出来ているのは、正面にあるプレセアの後ろ姿だけ。
切れた息と恐怖で激しく鳴り続ける鼓動を静める為に、両手をぎゅっと胸元に押し当てながらプレセアに近付いた。
プレセアは振り返り、横に少しずれると、風はプレセアの更に奥にある白いベッドに、横たわっているフェリオの姿を確認した。
後から来た光と海が入り口で心配そうに風の後ろ姿を見つめる。
カルディナが光の肩をそっと抱く。
光が見上げると、カルディナは悲しそうにそっと微笑んでいた。
風は腰を落として、フェリオとの距離を縮める。
…1週間前に見た時の寝顔と明らかに違うのは、蒼白した顔と、首に巻かれた包帯。
震える手で、胸の上に置かれたフェリオの手に触れてみた。
―――冷たい。
でも、その冷たさは、決して氷の様ではなく、いつも自分の頬に優しく触れる心地良い冷たさで――
「フウ」
隣りから優しく自分を呼ぶ声に顔を上げ、プレセアを見上げた。
「大丈夫、眠っているだけよ。命に別状ないわ。」
プレセアの確実な言葉に、風は力が抜けて、そのまま床に座り込んでしまった。
「風ちゃんっ!」
「風っ!」
二人は驚いていて、風の元に駆け寄り、彼女を囲む。
風は震えた両手で、フェリオの手をぎゅっと握りしめたまま、目に涙を浮かべて、小さくよかった…と呟いた。
「私がいながら、こんな事になってしまった。…申し訳ない。」
「なぁに言ってんだよ。今回の事は、俺が油断したからだ。気にするなって。」
横になった状態で、片手をヒラヒラと動かし、フェリオはラファーガに無邪気に笑ってみせた。
フェリオが重傷をおってから3日が経った。
現在は意識も取り戻し、首の傷もだいぶ良くなっている。
「そうですわ。フェリオの平和ボケが招いた結果です。」
フェリオの傍らでセフィーロの物だと思われる果実を剥きながら、風が言った。
この3日、風はずっとそばで看病をしている。
回復に向かっていくフェリオに安心しながらも、怪我をした事実に少し心を痛めていた。
だからこそ、いつもより口調が強まる。
「へ、平和ボケって…」
彼女の厳しい言葉に笑顔も引きつるフェリオ。
そんな二人のやり取りに、ふっと笑い、ラファーガはわかった、とフェリオに向けて頷いた。
「しかし、王子、無理はされぬよう。プレセアは全治20日と言っていたのだからな。」
「ああ。ありがとう。」
ラファーガはフェリオに向かって一礼をすると、部屋をあとにした。
パタンと扉が閉まったことを確認すると、フェリオは眉間にしわを寄せ、白い天井を見上げた。
ふぅ…と大きく息を吐き、瞳を閉じる。
よく見ると、額にはうっすらと汗をかいている。
風はそんなフェリオの様子をみて、果物を剥く手を止めると、枕元にあったタオルで汗を拭った。
「…まだ、痛みますか?」
いくら傷は塞がっていても、声帯の動きで首の筋肉は震える。
これが痛みを誘発している事を、風は気付いていた。
「大丈夫」
フェリオは心配させまいと、そっと優しく微笑む。
「けれど・・・」
それでも悲しそうに見つめる風の頬を優しく撫でた。
「貴方が健康でいて下さらないと、東京にも帰れませんわ。」
そういうと、風はフェリオの手をそっとどかし、タオルを枕元に戻す。
ベッドに背を向けると、横にある窓を両手で開けて、外を眺めた。
セフィーロの風が優しく部屋を満たし始める。
フェリオは彼女の後ろ姿をそっと見つめた。
目の前で金色の髪がふわりと揺れる姿に、胸の奥がざわめく。
―天使の様だ…
「え?」
風は振り返り、フェリオと視線が交わる。
セフィーロの風に混ざった声が、風の耳に微かに届いたのだった。
フェリオは声になっていた事に驚いて、いや…と首を小さく振った。
しばらくの沈黙の後、風の唇が小さく動いた。
「……フェリオ」
窓の縁にそっと、もたれかかると、風はフェリオを優しく見下ろす。
その表情は、少し悲しげで…。
ん?と問い掛けるフェリオに風が笑顔で答えた。
「魔法が使えなくて、悲しいと思ったのは、今回で二度目ですわ。」
そう、無邪気に明るく笑う風の瞳は、潤んでいる。
2度目にセフィーロに来て、魔神がモコナと共に異次元に去った後、彼女達に以前の魔法は使えなくなっていたのだった。
――なんて、無力なんだろう・・・。
涙が風の左頬をつたった。
すると、顔を押さえ俯く風の身体がクンっと動いた。
え?と顔をあげる風。
見ると、フェリオが風のロングスカートを軽く引っ張ったのだ。指はまだそこにある。
二人の視線が交わる。
すると次は、ポンポンっと自分の腰辺りのベッドをフェリオは叩いた。
風は訳がわからず、首を傾げてみせた。
「…座るんですか?」
終始笑顔のフェリオ。
それをYESと判断した風は、その位置に腰を下ろした。
するとフェリオは、少し顔をしかめて、よっと起き上がり、風の身体に抱き付くと、そのまま後ろに倒れた。
「!」
風の顔がフェリオ傷口でない方の肩に埋まる。
「あ、あの…フェリオ//?」
「お前の魔法なら、いつもかけてもらってる」
ふわふわの髪に隠れた耳元へ、そう囁く。
「え?」
風を抱き締める腕を緩め、両肩を掴み距離を作ると、そっと唇を重ねた。
優しい、キス。
「こうやって、な」
唇が離れると同時にそういうと、フェリオは悪戯にニッと笑った。
あまりの出来事に固まっていた風が、はっと我に返り、頬を赤く染めた。
「な、何をいっ…//」
「だから、泣くなよ?」
両手で風の頬を包む。そっと引き寄せて、互いの額を付け合わせると、風は小さくはい、と頷いた。
キスは魔法。
大切な人を癒す、不思議な魔法。
~fin~
オマケ↓(クレ海)
「もうっ!クレフが『フェリオが重傷だ…』とか言うから、風が大変だったんだから!」
まだ意識の戻らないフェリオの元に風を残して、海は大広間に戻り、クレフにモノマネを取り入れながら怒鳴った。
「本当の事だろう?」
「でも言い方ってものがあるでしょう!?特にフェリオは風にとって一番大切な人なんだから!」
まったく…と頭を抱える海をクレフが見上げた。
「…ウミは、本当にフウが大切なんだな。」
クレフの柔らかい笑顔と言葉に海は驚いた。
だが、すぐに優しくほほ笑んでクレフを見つめ返す。
「当たり前じゃない。だって風は私の大切な『仲間』だもの。」
そういうと、海が手に持っていた箱型のバッグを開ける。
中には沢山のカップケーキが入っていた。
「それにね…」
その中からケーキを一つを取り出して、クレフにそっと渡した。
「貴方も、私の『大切な人』の一人よ。」
彼女の言葉にクレフは目を見開いた。
一方、海はというと、少し頬を桃色に染めてクレフに笑顔をみせている
。
そんな海につられる様にクレフもほほ笑み、そうか、と口角を上げた。
~fin~
PR
この記事にコメントする