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PC閲覧推奨レイアース&デジモン二次創作小説blog。
★ひとこと★
プロフィール
HN:
華乃都(かのと)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1985/09/25
職業:
船医
自己紹介:
このサイトは『レイアース』『デジモン』をメインとする二次元小説サイトです。原作や作品の関連団体とは一切関係ありません。
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五十嵐様、如月様との相互リンク記念で勝手に書きあげました。
甘くいきます(笑)





8、身長差(フェ風)





真っ暗な闇の中で、シャンシャンと鮮やかな鈴の音がなり始めた。
始まりは一つだったものが、二つ、三つと数を増やす。
そしてついにその暗闇を音という光の粒子で満たした瞬間、辺りが眩しいほどに明るくなった。
色とりどりの光と人々の歓声がその空間を包み込む。
先ほど鳴っていた鈴を両腕に結んた踊り子達がきらびやかな装いで楽しそうに舞っている。




夜光祭。

それはセフィーロの人々が始めた祭りの一つだった。
陽の光、月の光に感謝し、魔法の力によって作り出される光の存在の素晴らしさを人々が感じる年に一度、城で行われる催しだ。
最も、この祭がされる様になったのは、柱制度がなくなってからであり、今回で3回目になる。
「綺麗ねぇ…」
「うん。」
夜光祭に合わせてセフィーロに来ていた光と海がその踊り子達の舞に同性ながらも頬をうっすら赤らめて見ていた。
そんな二人に両手にグラスを持ったフェリオと風が歩み寄る。

「お飲みものをお持ちしましたが、召し上がりますか?」
二人にグラスを差し出した風に、光と海はようやく踊り子達から目線を外し、ありがとう、とそれぞれのグラスを受け取った。
「酒じゃなくていいのか?」
「ダメだよ、私達まだ未成年だもん!」
珍しく声を荒げた光に驚いたフェリオ。そういえば、地球では一定の年齢に達しないとアルコールを飲んではいけないという決まりがあると以前風に言われた事を思い出した。
「そうよ、フェリオ。だから風にお酒を強要しちゃだめよ。」
「…わかったよ。」
過去にあったのかなかったのか、フェリオは素直にそう答え、風に片方のグラスを渡す。にっこり笑って受け取る風の仕種から、それは風の飲み物で、光と海に用意したグラスで手が塞がってしまう風を気遣ってフェリオが風の分も持っていたのだと推測される。
本当に…見た目と違って紳士な人だと海はこっそり思った。


「王子はん!お嬢様方!」
カルディナが人混みをぬって軽やかに駆けてきた。
「どや、楽しんでるか?」
「ええ、とっても。こんな素敵な夜のお祭りなんて、東京じゃ絶対味わえないわ。」
「お料理も、とても美味しいですわ。」
「そりゃ~よかったなぁ。」
海と風の笑顔にカルディナは、うんうん、と満足気に頷いた。
「今年はカルディナ、踊らないのか?」
毎年トリを努めていたカルディナだったが、今の『比較的』質素な装いから、光が淋しそうに問うたのだ。
「今回は指導者側に回ったんよ。」踊り子達の舞いはカルディナ仕込みらしい。
そう…と光と同様に残念がる海と風。その様子に「それにな」とカルディナが続ける。
「アタシはラファーガの前でしか踊らんし~♪」

「……下品だぞ、カルディナ。」
フェリオが眉間にシワを寄せた。
カルディナの言葉の意味を理解して、顔を赤くした海と風。風に至っては少し俯いていた。
「あはは~冗談冗談♪そんな恐い顔、王子はんには似合わんで~」と笑いながらフェリオの肩を叩く。フェリオは全く…とため息をついた。

「何が下品なんだ?」
きょとんと首を傾げた光の頭を海はヨシヨシと撫でた。
「光は知らなくていいの。」
「ええ。」まだ少し赤い顔で風も頷く。

「???」

和やかで鮮やかな夜光祭が続いた。









「ふぁぁ…眠い。」

夜光祭は終わり、まだほのかに熱の残る会場を後にして、フェリオは風を部屋まで送る為に城の廊下を歩いていた。
右手で正装服の衿のボタンを外して、左手は風の手を軽く握って。

「まぁ。あんなにお昼寝されたのに?」
「この日ばかりは夜行性の奴がうらやましいよ。…まぁ、俺がもっと強く願えば、眠気も飛んでいくんだろうけどな。」

「…………願う…。」
自問した様な風の声にフェリオが振り返る。風は何かを考えている様子で空いた左手を自分の顎にあてていた。
「どうした?」

「…セフィーロの『心の力』とは一体どのくらいなんでしょうか?」

言葉と同時に風の足が止まり、続いてフェリオもその場に止まった。
「…『願い』にも各々の願う容量が違うはずです。もしそのすべての願いが叶っていたのなら、セフィーロは何度も何度も崩壊しているはずですわ。」
長きにわたり一人の姫の心が平和を守り続けていた国。反発的な考えを持った者がいたとしても不思議ではない。
しかしそれが過去、事件を起こさなかったと思われるのは『柱』の強さが圧倒的であったから。
―最高権力者、エメロード姫。
だから、ただ人々の願いによって存在する今のセフィーロは過去にないほど、不安定なのである。

「私は、この世界の『想いの力』について、もっと調べた方がいいと思うんです。」
セフィーロの為に。
そして、フェリオの為にも…。




―さすが、だな。

自分を見上げ、真剣な瞳で黙々とセフィーロの事を語る風をフェリオはただじっと見つめていた。いや、見とれていたというのが正しい。

ふわふわとした優しい笑顔で、時折頬を染めて語り出す彼女もだが、今の様に凛とした表情でただ淡々と自分の考えを述べる姿が、フェリオは好きだった。
そして、そんな時はいつも念頭に俺を思っての事だというのも知っている。
…けれどそんな自惚れなど口になどしない。したくない。

―寧ろ、風の口から言わせたい。

そんな感情を抱きながらフェリオは笑顔を作った。
「フウは本当にセフィーロの事を思ってくれているんだな。
…お前にそこまで愛してもらえるこの国に、俺は少し嫉妬するよ。」わざとらしくため息をつくフェリオ。
「いえ、私は……」風は左手を胸の前できゅっと握る。
「…もしセフィーロに何かあったら、重責を担う貴方が危ないと思ったから…それで……」
そう言って俯く風の顔が赤く染まっている。
「…ありがとう。」
フェリオはふわりと笑った。




―…俺もホント、意地が悪いな。
両手で風を抱きしめながらフェリオは自分の行いに自嘲した。

「でも、いつからだ?さっきの口ぶりからして、大分前から考えていたんだろう?」
フェリオは風の肩に手を置いて距離を作ると、風は一度俯いてから見上げた。
「…フェリオ、身長どのくらい伸びました?」
「え?」
「出会った頃は同じくらいでしたのに、今はほら、こんなに。」手で自分とフェリオの頭の位置を比べてみせる。
「…アスコットさんやクレフさんの事を考えると、それも『心の力』なのかな、と思いまして…。」
片手を頬にあて、真剣に答える風。

その姿にフェリオは目を丸くして、それから声を上げて笑い出した。
「どうして俺の身長の事が、セフィーロの未来にまで結び付くんだよ。」
「た、大切な事ですわ。容姿を変えられる事が地球の女性達にとってどれだけ魅力的か、フェリオはご存知ないから!……だから、ずるいです。」
「フウはそのままで可愛いよ。」
「 ! し、知りません!」ふいっと赤い顔をフェリオから背ける。

「俺が背が伸びたのはただの成長期だよ。」
まだ少し笑いを堪えながら「でも…」とフェリオは風の頬に触れた。
「人並みに願ったのは、認めるかな。」
そっと顔を寄せて風の額に口づけて、唇をそっと重ねる。その行動は、まるで身長差を見せ付けるようであった。

「…やっぱり、ずるいですわ。」
「そうか?」
…男なら誰でも、恋人を守る為に逞しくなる事を願うものだろう?
そういって見ても、風の膨れっ面はまだ直らない。ホント頑固だ。それがまた愛らしくて困ってしまう所でもあるな、とフェリオは頭を掻いた。
「結局、俺の願いは一つきりなんだけどなぁ…。」




―この恋が、永遠に続きますように。



fin
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はじめまして
華乃都さん、はじめまして。シルヴィアと申します。リンクをたどってやって参りました。

書かれるフェリオさんのすてきさにクラクラです。風ちゃんより余裕がありつつも彼女が大好きでとっても大事に思っていて、彼女のために成長している――すごく的確にキャラをつかまれているなぁ、とほれぼれしました。

特にこのお話は、風ちゃんの理知的な面と純情な面、両方が現れていていいですね。フェリオの一枚上手でいてベタ惚れな様子も。

ところで、私も駆け出しで小説ブログをやっているのですが、リンクさせていただいてよろしいでしょうか? お手数ですが、お返事のほどよろしくお願いいたします。
シルヴィア URL 2007/11/04(Sun)12:30:00 編集
恐縮です。
シルヴィア様>

はじめまして、こんにちは。コメントありがとうございます!!

「身長差」の感想ありがとうございます//(照)嬉しいです。
周りからみると当たり前のように傍にいる二人だけれど、当人達はそれを当たり前だと思っていなくて、一緒にいる為に一瞬一瞬を大切にしている。と、いったような事を思いながら書きました//
私も賢さと可愛さを兼備えた風ちゃんが大好きですv彼女を可愛くさせたい!と思うとフェリオがキザキザになるので・・・イタイですよね~(自分が)
でもそんな王子が大好きなんです!はい。

リンクの件ですが、このようなブログサイトでよければどうぞ宜しくお願い致します!
わたくしもシルヴィア様の小説ブログをリンクさせていただいてよろしいでしょうか?

それでは、またいつでもお待ちしております(^▽^)

華乃都
華乃都 2007/11/07(Wed)01:36:00 編集
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