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PC閲覧推奨レイアース&デジモン二次創作小説blog。
★ひとこと★
プロフィール
HN:
華乃都(かのと)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1985/09/25
職業:
船医
自己紹介:
このサイトは『レイアース』『デジモン』をメインとする二次元小説サイトです。原作や作品の関連団体とは一切関係ありません。
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2007年クリスマス企画 『S4』レイアース第五弾です。
フェ風パラレル「月夜に舞い降りた天使」の続編になります。
こちらをご覧になってから読まれる事をお勧めします。

第四弾の続きとなります。海、フウ、フェリオ、アスコット出演。
かなりシリアス。書いててちょっと凹みました。(笑)
*お題配布様のルールに従い、改変させて頂きました。

5.冷たい手 ~2007.12.22 S4 Rayearth第五弾~




その夜、フェリオは心の準備が出来ていないまま、海とアスコットを自宅へ招いた。

「初めまして。フウと申します。」
「私は海。彼はアスコットよ。」
「よろしくね。」
「よろしくお願いします。」

夕食はフウの得意料理の一つでもあるパスタ。海の幸がたっぷりのトマトソース仕立てだ。煮込んだトマトの香りが部屋中を満たす。

シチューやソースなど熟成させるとより一層味の深みが増す料理は多めに作り、翌日の朝食のメニューにも加える。
そう昨夜二人で話したばかりだった為、フウは今回のソースも多めに作っておいた。
それを突然の客人、海とアスコットに出す事になり、その結果明日の朝食のメインからパスタは外されてしまったが。


4人はテーブルを囲み、夕食を始めた。
海がパスタを一口、口に入れると目を丸くして正面にいるフウを見つめる。
「…この料理、フウが作ったの?」
「はい。お口に…合いませんでしたか?」
「とんでもない!すっごく美味しいわよ!フウは料理上手なのね。」
「ありがとうございます。嬉しいですわ。」頬を少し赤くして嬉しそうに微笑む。
フェリオが連れてきた友人二人に、最初は戸惑ったが、弾む会話が進み、フウの中であった警戒心に近い緊張が次第に解けていった。


「フウはいつから東京にいるの?」海の隣りにいるアスコットの声にフウが反応する。
「一週間ほど前からです。」
「あら本当に最近じゃない。遠距離だっていうのは本当だったのね。」
「えん…距離?」意味がわからず首を傾げるフウ。
「内緒にしてたなんてひどいよ、ねぇフェリオ。」
「…悪かったよ。」
海とアスコットの自分を責める痛い視線に、フェリオはただ黙々と料理を食べるしかなかった。



食事も一通り終わり、楽しい会話の中で不意に海がフウの顔をのぞき込んで訪ねた。
「…フウって…ハーフ?」
「え?」
「あ、ごめんなさい。綺麗なブロンドの髪だったから…」
ふわふわなフウの髪に海は見とれていたのだった。
「それは…-」
「フ、フウの母親はフランス人なんだよ。よくわかったな。」
「そうなの。はぁ…いいわねぇ…。」
「う、海の髪も綺麗だよ!」海が落ち込んだ様に思えたアスコットが咄嗟にフォローに入る。
しかし海は「髪だけの問題じゃないのよ。」と何故か怒られてしまい、アスコットは混乱してしまった。
そんな二人の様子に、上手く誤魔化せた。とほっとするフェリオ。
しかしその傍らでフウは黙って俯いていた。








気が付けばもう夜の11時。
海とアスコットは玄関先で仕度を調え、海がフェリオ、と振り返る。
「とっても楽しかったわ。ありがとう。」
「いや。」
「あれ?フウはまだ帰らないの。」上着を着ないでフェリオの一歩後ろにいるフウにアスコットが訪ねた。
「え、私は…-」
「あ、ああ、フウは方向違うから、俺が後で駅まで送るよ。」
「そっか。じゃあまた明日。」

二人は扉を開けるとフェリオとフウに手を振って「お邪魔しましたー。」と帰って行った。






途端に静かになった我が家。
フェリオの中にあったフウの事に関する緊張感が解け、大きく背伸びをした。
咄嗟の言い訳に二人は不信に思わなかっただろうか。
本当の事は徐々に話していくしかない。しかし今日はあまりに突然すぎた。

「さてと、片付けるか。」
ほっとため息をついてリビングへ向かおうとしたフェリオの上着の裾を、フウがぎゅっと掴んだ。

「…フウ?」
「……………て…」俯いて発した言葉の語尾だけがフェリオの耳に届いた。
「え?」
フウは顔をあげる。
「どうして嘘をつくんですか?」
いつもより少し声。明らかに怒っている。
フェリオはそんなフウの初めての表情に眉を潜め戸惑った。
「どうしてって…」
「私は純粋なセフィーロの民です。ハーフなどではありません。それに…なぜ私がここで暮らしている事を隠すのですか?」
あまりに冷静に問う声が怒りに満ちて震えている。しかしどことなく憂いを感じるのはフェリオの勘違いだろうか。
彼女の問いかけにフェリオは口を開いた。

「…仕方…ないだろ。いままでの事、一体どうやって話すんだよ。お前は俺が保護した猫で、その猫が実は異世界の住人で…地球を調査するために俺のウチにいる、とでも言うのか?…そんなの、俺達しか理解出来やしない。」
いや、もしかしたら自分達も全く理解していないのではないか?


-存在すら異なる二人が、同じ屋根の下で生活しているこの現状に。



沈黙を破ったのはフウだった。
「…私は嘘をつく人は大嫌いです。」
フウはそのままドアノブに手をかけた。ガチャリと音がした扉から体を外へ投げ出す。
フェリオは咄嗟にフウの手を掴むが、その手は霧のようにふわりと煙をあげて消えた。
次の瞬間、フェリオの目に飛び込んできたのは黒く長い獣の尻尾。

「! ク…―!」
見覚えのあるそれを追いかける様に裸足のまま外へ飛び出すが、非常階段の方へと曲がる尻尾が一瞬見えただけだった。

フェリオがただ呆然と見つめるのは彼女の―クロの―姿が消えた方向。フウを掴み損ねた右手を強く握った。

「………フウ…」
呟く声も虚しく、フウは再び猫へと姿を変えて寒空の下へと消えていった。






続く。
真冬の恋7題/お題配布先様確かに恋だった


========
いつのまにか続いています。
そしてなぜか長めのS4。(…
ラブの欠片もなく…すみません。
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