PC閲覧推奨レイアース&デジモン二次創作小説blog。
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プロフィール
HN:
華乃都(かのと)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1985/09/25
職業:
船医
自己紹介:
このサイトは『レイアース』『デジモン』をメインとする二次元小説サイトです。原作や作品の関連団体とは一切関係ありません。
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「10分休憩しようか」
「うん。」
タケルの提案にヒカリは頷いてシャープペンを置いてた。
学校のテストが近い事もあって二人は今、八神家のヒカリの部屋で勉強会をしている。
昨日までの予定では、学校と隣接している図書館でするはずだったのだが、この天候だ。
初雪。
二人はベランダに出ると、しんしんと降る雪と景色を眺めた。
「…こんな風に真っ白になったお台場を見てると、まるで別の街に来たみたいな気持ちになるわ。」
「…そうだね。
ね、ヒカリちゃんは雪が好き?」
「ええ、好きよ。白くてとてもキレイだもの。
タケルくんは?」
「……僕は…ちょっと苦手、かな?」
「どうして?」
自分を見て首を傾げるヒカリに、くすっと笑うと空を見上げて雪の結晶を拾う様に胸の前で手の平を空に向ける。
ふわりと牡丹雪がタケルの手に落ちた。
それはまるで、白い羽根の様で……
「…エンジェモンがさ、初めて進化した時の事を思い出すんだ…」
「タケルくん…」
ヒカリは驚く様子もなく、空を仰ぐタケルの横顔を見つめた。
タケルが幼くして経験した悲劇―それは大切な人が目の前で消える事―
あの時の悲しみを忘れる事は決してないだろう。
「こんなにキレイなのに、ね。」そう苦笑いをする彼に、ヒカリも同じ笑顔で返した。
ヒカリはタケルの悲劇を知らない。兄の太一から話は聞いているが、それを実際に目で見ていないのだから、知らない事と同じであると彼女は思っていた。
パートナーではないにしろ、ヒカリもテイルモンが初めての進化をした時、友人であったウィザーモンの死を目の当たりにしている。
ヒカリは無言でタケルにそっと肩を寄せた。
「…ヒカリちゃん?」
「大丈夫よ。タケルくんには大輔くんやヤマトさん達、みんないるんだもの。
…もう誰も消えたりしないわ。」
そう自分を見上げて優しく微笑む彼女に、タケルは「敵わないや」と心の中で小さく溜息をついた。そしてつられて笑顔を作り、頷く。
「うん。…でも、僕は、お兄ちゃん達よりも、ヒカリちゃんにそばにいて欲しいな。」
ベランダの柵にもたれかかり、笑顔で言うタケルに、ヒカリは、あら。と口元に手を置いて、くすっと笑うと、「もちろん、そのつもりよ♪」と答えた。
そろそろ入ろっか。とタケルがヒカリの肩に積もった雪を手ではらい、先に部屋に入る様に促した。
自分もパンパンと扉の手前で服を叩き、中に入って扉を閉めようとした時、タケル改めて外を見つめた。
お台場をふわりふわりと舞う雪の結晶。
それらが自分の足下に落ちるとすぐに水となり、ふっと消えた。
タケルが、あ、と何かに気付いた様に小さく声を出す。
エンジェモンが消滅した時にタケルの元に舞い降りた羽根達は、この雪の様に消える事なく、デジタマに形を変え、存在をそこに残した。
「そっか…同じ様で違うんだね…。」呟いたタケルの声は扉が閉まる音でかき消され、ヒカリには聞こえなかった。
タケルはくるっと振り返り、テーブルに座ってこちらを見ているヒカリに近付いて、「次は数学だっけ?」といつも通りの笑顔を見せて、二人は勉強会を再開した。
向き合う二人の足下で寝息を立てているパートナー達がいる事に幸せを感じながら。
fin
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