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プロフィール
HN:
華乃都(かのと)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1985/09/25
職業:
船医
自己紹介:
このサイトは『レイアース』『デジモン』をメインとする二次元小説サイトです。原作や作品の関連団体とは一切関係ありません。
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テン様より、前サイトにて500HITリクエストを頂きました!
ありがとうございます。
「ありがとうございました!これでやっと繋がりましたわ!」
風はパン!と自分の顔の前で両手を合わせて、隣にいるフェリオに笑顔で微笑んだ。
そうか、とフェリオもつられて笑顔になる。
フェリオは風に呼び出され、城内にある書庫室に来ていた。
書庫室内は普段クレフや他の道士達が使っている為か、キチンと整理整頓されていて、埃一つない。
そんな部屋にある大型の机と対にある椅子に、彼らは並んで座っている。
風がすっと立ち上がって、机の上に広げられた本を一つずつ整頓していく。
「セフィーロは、本当に不思議な国ですね。」
風は片付けをしながら、目を輝かせてフェリオに言った。
フェリオは机に肘をついて手に顎を乗せると、ふぅん、とつまらなそうに答えて風の背中を見つめた。
いくつかの本を抱えると、風は本棚の立ち並ぶ奥へと姿を消していった。
最近、風はセフィーロの本の翻訳に夢中だった。
この国での自由な時間のほとんどをこの書庫室で過ごしている。
「何がそんなに楽しいんだか…」
腕を枕にして、フェリオは机に臥せてしまった。
「フェリオ?」
しばらくして聞こえた風の声に、臥せたまま、顔を横に向けて風を見た。
手には新たに発掘してきたと思われる本が数冊抱えられていた。
「お疲れですか?」
腰を曲げてフェリオを覗き込んだ。
髪がふわりと顔にかかる。それを無言で見つめるフェリオ。
「…………」
「すみません、付き合わせてしまって…。私に気にせずお休みになって下さいな。」
「…………」
それでもなお、何も話さないフェリオに、風は首を傾げてそこにあった椅子に座る。
するとフェリオがゆっくり体を起こして少し俯いたまま、背もたれに体を預ける。
風は、本を机の上に置いた。
「…何か、あったんですか…?」
そう、不安気な表情で、眉をひそめてフェリオを見る。
「病気は私に治す事が出来ません。ですから、お辛い様でしたら部屋に…―」
「フウ」
突然自分の名を呼ばれて、風はびくっと反射的に体が揺れた。
ゆっくりフェリオの身体が傾いたかと思うと、トンと風の左肩に頭を預けた。
風は驚いて目を丸くする。
「フェリ―」
「たまには…相手してくれよ…」
はい?と風がフェリオの方を向くと、緑色の髪が、自分の頬と唇にあたった。
風はどきっとして顔を元に戻した。
「あ、相手って…」
膝にきちんと置かれている風の左手を取ると、フェリオは手の甲に自分の唇を落とした。
「キスだって、ずっとしてない」
「っフェリオ///!?」
恥ずかしさで風はその場で立ち上がって、フェリオから距離を取った。
と言っても、左手は繋がれたまま・・・。
フェリオは俯いてふぅ、とため息をつくと、右手で困った・・・と言うように頭を掻いた。
「最近…俺、わがままなんだ…」
「え?」
「フウといられるだけで、嬉しくて、幸せなはずに、だんだん・・・もっと多くのモノを一緒に見たい、一緒に感じたいって願ってしまう。」
髪の隙間から見えるフェリオの顔がいつもより少し赤くなっている事に風は気付いた。
「フェリオ…」
「フウの自由な心を、束縛なんてしたくないのに…」
フェリオは握り合っている左手にぎゅっと力を込めた。
風が繋がれたフェリオの左手を自分の右手をそっと包む。
「それは束縛ではありませんわ。」
フェリオは、えっ?と風を見上げた。
「『どちらか一方が相手の行動の自由を奪う。』それが束縛です。でも、フェリオの望みは、『互いが思いを共同して持つ事』ですよね?」
ああ、とフェリオは少し驚いた様に頷く。その様子に、にこっと笑ってそれは、と風が続けた。
「束縛でなく、『共有』です。」
「共有…」
彼女のあまりにも説得力のある言葉にフェリオは、そうか、心の中で納得した。
その様子に風が小さく笑って、「フェリオはお優しいですね。」と言った。
「そういう貴方だから、側にいたいって思うんです。」
老若男女に関わらず、この世に生きるすべての物を尊重し、愛を注ぐ心の強さが彼にはある。
それが国を支える者として、必ずしも大切な事だと主張は出来ないが、少なくともセフィーロには彼が王子に最も相応しい人間だと風は思った。
「それに……」
「それに?」
小さく呟いた彼女の声にフェリオが反応した。
風はすっと上半身を前に倒し、フェリオと目線を合わせると、にっこり笑った。
「貴方より私の方が束縛心は強いかもしれませんわ。」
え?と言うフェリオの言葉を遮って、風がそっと唇を重ねた。
フェリオは風からの突然の口づけに驚いて目を見開く。
「…不意打ちは卑怯だぞ。」
唇を離して、悔しい、と言わんばかりの表情を見せるフェリオ。
風は頬を紅くして笑うと、人差し指を立て、ウィンクをした。
「ですから、『束縛』です♪」
「 ! ははっ。」
上手い事を言うなぁ、とフェリオは笑った。
すると風が机の上にあった本を積み上げて数冊持ち上げた。
フウ?と首を傾げて彼女の横顔を見る。その視線に風が気付いて、こちらを向いて言った。
「急に貴方と散歩に行きたくなりました。」
「え?」
きょとんとするフェリオに風が優しく笑って、持っていた本をフェリオに差し出した。
「…片付け、手伝って頂けますか?」
フェリオの顔が一気にぱぁと明るくなる。
実はフェリオもこの部屋に来てから、一緒に外出したいな、と思っていたのだ。
フェリオは勢いよく立ち上がると、ああ、と返事をすると本を受け取り、更に、まだ机に残っていた本も抱えて、本棚の方へ足取り軽やかに行ってしまった。
そんなフェリオの後ろ姿を見て、風はふふっと笑いが込み上げてきた。
フェリオは自分に対して感情を素直に表現してくれる。
それが時々すごく可愛いらしいと思ってしまうのはなぜだろう。
風は、ふと左手の薬指に光るリングを見つめた。
「一緒にいて下さいね。………ずっと。」
そうリングにむかって囁くと、そっと唇を寄せた。
~fin~
テン様より500HITリクエスト「風に甘えるフェリオ」でした。
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