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プロフィール
HN:
華乃都(かのと)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1985/09/25
職業:
船医
自己紹介:
このサイトは『レイアース』『デジモン』をメインとする二次元小説サイトです。原作や作品の関連団体とは一切関係ありません。
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ホワイトデー企画
「返事?」
首を傾げたフェリオに海が「そうよ!」と肩をポンと叩いた。
「風にもらったんでしょ?チョコレート」
「あ、ああ。」
チョコレートがお菓子の一つだいう事をフェリオは理解していた。
「んもう、ダメじゃない!ちゃんと返事しなきゃ。何か考えてる?」
うーん…と考えて、フェリオは首を振った。
その隣りで、ふっふっふっと妙な笑いをして、フェリオに手招きをしている。
「ねぇ、こんなプレゼント、どうかしら?」
海はそういうとフェリオの耳元で声を潜めて何かを話した。
その少し前、光達3人は、プレセアの部屋でお茶を飲んでいた。
「あら?ヒカル、そのブローチ素敵だわ。」
プレセアが光の胸元で輝く赤い宝石の埋め込まれたブローチを見て言った。
「東京でお会いした時にはありましたか?」
光は首を振って、えへへっと笑いながらブローチに触れて言った。
「さっきランティスからもらったんだ。」
「ホワイトデーって事ね。さっすがランティスだわ。」
うんうん、と海は腕を組んで頷いた。
ホワイトデーという行事を知らないにも関わらず、しっかりプレゼントを用意してる辺り、ランティスの紳士ぶりを感じさせる。
本当に、と笑顔で相槌する風の隣りで、光が再度ブローチを見つめた。
そんな3人の姿にプレセアが不思議そうな顔をしていた。
「ホワイ…トデー?」
プレセアに問われてえーっとと悩む光の肩に手を置いて海が答える。
「この前バレンタインデーに大切な人へプレゼントをして想いを伝えるっていう行事、覚えてる?地球では、その対で1ヶ月後に、バレンタインデーの時の返事をする日があるのよ。その日の事をホワイトデー。」
海の説明にプレセアがなるほど。と頷いた。
「二人は何かもらえたの?」
え?と声を出すと、すぐに「まさか」と海と風は顔を見合わせて苦笑した。
「ホワイトデーを教える事はプレゼントや返事を期待してるって事だもの。そんな厚かましい事は出来ないわ。ねぇ、風。」
「そうですね。皆さんが喜んで下されば、それで満足ですわ。」
「風、フェリオが喜べば、でしょ?」海が笑いながら風の肩を肘で突っ突いた。
「もう、海さん…」
風が赤くなったと同時にその場の全員が笑った。
光、海、プレセアと別れた後、風は城の中庭で子供たちの相手をしたり、事前にクレフに教えてもらった書庫でセフィーロの文化を学んだりして一日を過ごした。
陽も落ち始めて、帰る時間が迫る。風は光達と待ち合わせている場所へ続く城の廊下を歩いていた。
『ランティスにもらったんだ。』そう嬉しそうに笑う光の姿が頭をよぎった。
彼女も素敵な恋をしているのだと思うと自然と笑みがこぼれてくる。
そして、うらやましい…とも。
朝、自宅から東京タワーに向かう間に通る街は、すぐそこまで迫るホワイトデーの色に染まっていて…。
大切な人から返事をもらえない事がとても悲しい。
仕方がない事だと思う。セフィーロにその様な習慣はない。
それでも望んでしまう自分は…わがままだ。
「…いけないですね…」
「何がいけないんだ?」
「!」
風は突然横から聞こえた声に驚いて振り返った。
きょとん、とこちらを見ているフェリオに、もう…と風は溜め息をついて胸を撫で下ろした。
「驚かさないでください」
「声はかけたんだが…どうした?何か考え事か?」
首を横に降って風は微笑んだ。
東京への『道』。
城の最上階にそれはある。
3人を見送る為にカルディナ、プレセア、ランティス、アスコット、フェリオが揃っている。
「じゃあ、また来週ね。」みんなに笑顔で手を振ると、海が道の開く場所に位置して光に手を伸ばした。
「ランティス、ありがとう。」
自分を見上げて笑う光に、ランティスも小さく微笑み返した。
光が海の手を握る。
「あまり無茶なさらないで下さいね。」
「ああ。その時はサボるさ。」
そうウィンクをしてみせるフェリオの後ろでプレセアが頭を抱えている。
そんな彼女の姿が目に入った風はくすくすっと笑って「では」と振り返り歩む。
するとフェリオが咄嗟に風の腕を掴んだ。
「?」
「えっと…その……」
フェリオは困った様子で頭を掻いて、ちらっと海を見ると、彼女は自分を見て不気味な笑みを浮かべていた。
「………」
腕を掴まれた本人はというと、困惑した顔で首を傾げてフェリオを見上げた。
「…フェリオ?」
そんな風の姿に、意を決した様に強く瞼を閉じ、開けるとフェリオは風を見つめた。
「…フウ」
「はい…?―」
風が声を出すのと同じ時、フェリオは掴んでいた腕を自分の方へ引くと唇を重ねた。
触れるだけの一瞬の口づけ。
そこにいた全員が驚いたのは言うまでもない。あの無表情なランティスさえ、目を丸くしている。
唯一、海だけがニコニコと変わらぬ笑顔のままだが。
かぁぁっと顔を赤らめて、風は口許を押さえている。
「ふぇ、フェリオ!?」
そんな彼女に、フェリオは少し照れた顔で優しく笑って言った。
「この間の返事、な。」
「え?」
「風ー!『道』が開き始めたわよー!」
くすくすっと笑いながら声を出して、海が風に手を伸ばした。
その声にフェリオは風の背中を押し、光と海の所へ誘導する。
何か言いたそうな風が横を向いてフェリオを見るが、背中を押されている状態であるので彼の表情は定かでない。
光と海が風の手を取った。3人の足下が白く光って天高く光りの柱を作る。
それは『道』が開いた証である。
東京に戻る瞬間、風は再度振り返ると、フェリオは笑いながら手を振って「また」と言ったのが聞こえた。それに答える様に風は優しく微笑み返して……。
光度は強さを増し、一定の所でしばらくの間光り続けると除々に弱くなり、3人の少女の姿はそこにはもうなかった。
「っはぁ~……緊張したっ!」
フェリオはそう言ってその場にしゃがみこんで頭を抱えた。
顔は赤い。
そんなフェリオにヒューっとカルディナが口笛を吹いて「さすが王子!!」とケラケラと笑った。
「もぉ~ビックリしたよぉ…すごいな、王子は。」
そう言うアスコットの顔も赤い。
「…あんな事して、驚かせたよな?」ぼそっと自分自身に呟いた言葉に、プレセアが腰を折って膝に手を付けてフェリオの背後で答えた。
「そうね。でも、とても素敵な『返事』だったと思うわ。」
「…ウミの提案なんだ。」
「ウミの?」
「ねぇねぇ、プレセア。『返事』って何?」二人の会話にアスコットが入って来た。プレセアが体を起こして「それはね…―」と説明を始めた。
そんな会話を片耳で聞きながらフェリオは頭を上げて『道』のあった所を見つめ、少し前の彼女の言葉を思い起こす。
『なぁウミ、そんな事して、俺は嫌われないか?』
『え?嫌う?そんな筈がないわ。』
だって風は貴方が好きなんだもの。
fin
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