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プロフィール
HN:
華乃都(かのと)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1985/09/25
職業:
船医
自己紹介:
このサイトは『レイアース』『デジモン』をメインとする二次元小説サイトです。原作や作品の関連団体とは一切関係ありません。
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ここは城の食堂。
城に使える兵士や、城に住んでいる人々が集まる憩いの場である。
フェリオは仕事も一段落ついて昼食を楽しんでいる時だった。
・・・王子がそんな所で食事など一見おかしな光景だが、自分だけ部屋で食事なんてつまらない。
せっかくの豪華な料理も味なんてしないものだ、とクレフの目を盗んではよくココで食事をしているのだ。
皆も王子のそういう性格を知っての事だろう。
例え王子が隣りにいようと、誰一人として騒ぐものはいない。
この城の中でフェリオの存在が極々自然なものだという事を物語っている。
「ねぇ、フェリオって、私たちと会う前にお付き合いしていた人っていなかったの?」
突然、海がフェリオに近づいてきて、向かい合わせに座ったかと思うと、小声でそんな事を言ってきた。
「はぁ?」
口元まで持っていった肉が皿の上にポロッと落ちた。
辺りに光や風の姿は無く、どうやら海が一人で遊びに来たらしい。
「だって、フェリオってなかなかの男前だし、モテたんじゃないのかなぁと思って。」
「…そりゃあどうも。」
相手にしない様子で皿の上に落ちた肉をフォークで刺して口の中に放り込んだ。
そんな俺にふぅ、とため息をついて海が言う。
「まじめな話よ?じゃないと風が可哀想だわ。」
「可哀想?」
「風はああいう子だから、フェリオが初恋の人なのは誰が見たってわかるわ。でも貴方は…ねぇ」
海は言いにくそうに苦笑いする
「…悪かったな、遊び人ぽくって」
俺のいつもより低くなった口調に、海は笑って、そうは言ってないじゃない、と手をヒラヒラとさせて言う。
「どうだか。」
そう言って食事を口に放り込むと、海がずいっと俺の方に乗り出して問うた。
「で、実際どうなの?いたの?いなかったの?」
…しつこい。
こいつは答えた方が賢明だな。
そう感じ、俺は諦めてフォークを置くと、海を見て発声するために息を吸った。
「……い-」
「お待たせ――!」
突然の聞きなれた声に俺の言葉は遮られ、俺はガタンと椅子を鳴らして、慌てて後ろを振り返った。
そこには光と風が料理の置かれたトレイを持って二人が立っていた。
海がはあ、と大きくため息をついてテーブルに伏せる。
「もう、タイミング悪すぎよ、光・・・」
「?なに?」
海の力のない声と、その姿に二人は首を傾げた。
実は、レストランに入った時、海が席を確保し、光と風は食事を運んでくるという事になっていたのだった。
少し驚いて自分を見上げているフェリオに風が気づき、にっこり笑顔を作った。
「こんにちは、フェリオ。海さんと何のお話をされていたんですか?」
フェリオは、かぁっと頬を赤くして、別に、と言うと同時に目を逸らして食事に戻る。
そんなフェリオの仕草に疑問を抱きながらも、風はフェリオの隣の席に、光は海の隣りに座った。
3人の他愛も無い会話が自然と耳に入ってくる。
俺は話かけられる以外は、彼女達の会話に参加せず、黙々と食事を続けた。
海の事だ、先程までの話を持ち出すだろうと思っていたが、彼女は時々こちらを見る程度で、その考えは外れることになる。
昔、か・・・。
皿の上の料理をたいらげて、フォークを置くと、横にあったグラスを手にとって、口に含んだ。
自分は王子と言う立場上、昔から望めば何でも手に入るのが現実だった。
でも俺は、そんな日々にうんざりして、一人旅を選んだんだ。
人との交流で手に入る情報、硬貨で衣食住の管理、その硬貨を得る為の狩猟・・・。
すべてが新鮮であったが、俺には一日一日を過ごすのが精一杯で、恋などしている余裕なんてあるわけがなく・・・。
酒屋などに行けば、話しかけてくる女性がいなくはなかったが、自分の心が動く事はなかった。
それはきっと、今になって思う事だが、立場上、幼心に誰かが決めた相手と一緒になるのだろうと頭の隅にあったんだと思う。そして、そうなる事を認めていた自分がいたんだという事になる。
けれど・・・-
「フェリオ?」
はっと我に返り、声の方に振り返ると、席から立ち上がった風が俺を見ていた。
席向かいにいた光と海の姿はない。先に出て行ってしまったようだ。
「私達はこれから城の外に行ってきます。フェリオはどうされますか?」
そう俺を見つめ、優しく問いかける風に、フェリオの鼓動がトクンと鳴る。
・・・この深い緑色の宝石の様な瞳と、その奥にある強い心を持つ少女に、俺は惹かれてしまった。
今の自分を、あの頃の俺が見たら、笑うのだろうか・・・。
フェリオは椅子に掛けられた風の手を取り、軽く握った。
そのまま黙って自分を見つめるフェリオの姿に、風は首を傾げて苦笑する。
「・・・今日は一体、どうなさったのですか?」
フェリオは溜め込んでいた様な笑顔を作ると、風の手を取り、自分の口元に寄せ、手の甲にキスをした。
「ふぇ、フェリオ!?」
フェリオの行動に驚いて風はかぁっと顔を赤くする。
「お供させて頂きます、姫v」
そう上目遣いで自分を見るフェリオの姿と台詞に、風は、握られていない方の手で自分の熱い顔に触れた。
「ひ、ひめ!?」
「ああ。未来の『お姫様』だ。」
ニッと笑い、驚きを隠せない表情の風の前に、すっと立ち上がる。
俺をここまで夢中にさせられる奴は、前にも後にもキミ一人だけ・・・
~fin~
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