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「祝日ですから、仕方がないのですわ。」
隣りで風が額の汗を拭った。
ここはチゼータ。
クレフ、プレセア、フェリオと光、海、風はチゼータの祝日にもなっているタトラとタータの誕生日の招待を受け、つい先程入国した。
姫達に挨拶を済ませた後、夜のパーティーまで時間があったので、光海風とフェリオは飛空挺で街へと向かった。
すると途中の船内で、海が、フェリオと風に、二人で回って来たら?と言ったのだ。
さすがの二人も目を丸くして驚いた。
「ウミのやつ、ご機嫌だったな。」
その時の状況に、フェリオは思いだし笑いをする。
「そうですね。」と、続けて風もくすくすと笑った。
きっとチゼータに来られた事が嬉しいのだろう。いつも風を離さない海が、自らフェリオに譲ったのだから。
人込みの中を並んで歩く二人。
「よっ!そこの嬢ちゃん!安くするよ~」
「いえ、私は…」
「おお、綺麗な娘さんだ。お一つ如何かな?」
「あ、あの…」
二人の姿…特に風はその容姿と服装の為に、とても目立っていて、多くの人に声をかけられていた。
そんな人々に風は出来るだけ丁寧に応対していく。
すると、いつの間にか隣りにいたはずのフェリオがいなくなっていた。
「…フェリオ?」
-はぐれてしまった。
こんな右も左もわからない国で迷ってしまったら危険だ。セフィーロなら未だしも、チゼータの地には今さっき足を着けたばかりだ。焦って冷や汗が流れる。
「ど、どうしましょう…」
まだそんなに離れていないはず。辺りを見回して風は数歩動く。
―すると突然、腕を強くつかまれた。
「!」
風が慌てて振り返る。
「っごめん!」
そこには、少し息を切らして自分を見つめるフェリオがいた。
ほっと胸をなで下ろし、いえ、と首を横に振り、答える風。
「私の方こそ。」
そう、自分を見て優しくほほ笑む風に、フェリオは胸の奥が熱くなった。
「手、繋ごうか。」
「え?」
すっと風の目の前に手を差し出す。
「はぐれない様にさ。」
フェリオの言葉に風は一瞬戸惑う。
けれど、すぐに風は照れながらニコッと笑い、彼の掌に自分の手を乗せる。
「よろしくお願いします。」
~fin~