PC閲覧推奨レイアース&デジモン二次創作小説blog。
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プロフィール
HN:
華乃都(かのと)
年齢:
39
性別:
女性
誕生日:
1985/09/25
職業:
船医
自己紹介:
このサイトは『レイアース』『デジモン』をメインとする二次元小説サイトです。原作や作品の関連団体とは一切関係ありません。
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暗い暗い
真っ暗な闇の中。
真っ暗な闇の中。
そこに佇む一人の少年。
『……――……?…』
自分の唇が彼の名を叫ぶ。けれど声が出ない。
何度も何度も、呼ぶ。
…気付かない。
ふいに彼の手が動いた。
自分の顔を両手で覆っている。
『……?』
その手の隙間から零れた一粒の雫。
俺ははっとして、一番大きく叫んだ。
「ヤマト!!!!」
声が出た。
名前を呼ばれて驚きこちらを振り返る。
その青い瞳は濡れていて。
途端に闇が深さを増す。
俺は焦って手を思いきり伸ばした。
届かない。
走っても走っても、縮まらない距離。
ただただ真っ暗な闇がヤマトを連れていく。
届いてくれ!!
届け!!
「 ヤマト !! 」
バシッ
「…恥ずかしいやつ。」
目を開けると、空の様な青い瞳がそこにあった。
「…え……あれ…?」
天井を仰いで、右手を高く伸ばしている太一。
「…おれ…」
呆然と見つめるその手の少し先で、ヤマトが眉間にシワを寄せて太一を覗いていた。
「人んちのソファーで寝るのは勝手だけどな、…泣きながら俺を呼ぶのはやめろ。」
そう言うとヤマトが先程目覚まし時計代わりに頭を叩いた雑誌を、太一の顔にバサッと落とした。
「えっ…泣くって…うわっ!」
雑誌がずれて床に落ちる。
「テレビくらい切れよ。」
サッカー中継が終わった後のけたたましいバラエティー番組をヤマトは消した。
途端に訪れる静けさ。電子音がどれほど騒がしいか、よくわかる。
「……」
太一はソファーの背に首を預けたままに顔を触ると、確かに目の辺りが濡れていた。
「なに?俺が死んだ夢でも見たか?」
くくっと背中で笑う声は本気で笑っていなくて。
太一は自分の掌をじっと見つめて言う。
「…違う。泣いていたのはお前だ。」
「は?」
ヤマトが振り返った瞬間、太一がぐっと胸倉を掴んでヤマトを引き寄せた。
「!」
「捕まえた。」
鼻先があたる、そんな距離。
「なっ…―」
目の前にある太一の最高の笑顔。
一番好きで一番弱い顔。
ヤマトは言葉につまった。
それに…顔は絶対に赤い。
そう思ったら恥ずかしくなって、太一の目を隠す様に額に手をあてると、ぐっと引きはがした。
「寝言は寝て言え。」
「なんだよーもう少しでチュー…」
「太一、みんなに言うぞ?『中二にもなって夢見て泣いてました』ーてな。」
「え…いや、それはヤマトが…―」
「人のせいにするな。お前が勝手に見た夢だろ。」
「……わかった。ごめん。」
ヤマトはよし、と頷いて踵を返した
…―はずだった。
ガッシリ掴まれた右腕。その向こうには太一の無垢な笑顔。放たれた言葉。
「じゃ、キスしよーぜ♪」
全然わかってねぇ!!
ヤマトはそんな絶叫をしたくなる気持ちを冷静に飲みこんで、諦めという溜め息に変える。
どちらからでもなく重なる唇。
熱と同時に伝わる思い。
あの夢はきっと昔の俺達だ。
別々の環境で育った二人の心の距離。互いを認めようとも、理解しようともしなかった。
封印されていた勇気。
封印されていた友情。
何も届くわけがない。
けれど今は…―
「ヤマト」
「?」
声も、腕も、包みこめるくらい近くにいる。
そして
「ずっと一緒だから。ヤマトが嫌だって言っても、離さないからな!」
思いは言の葉に乗せて、いつまでも…―
fin
『……――……?…』
自分の唇が彼の名を叫ぶ。けれど声が出ない。
何度も何度も、呼ぶ。
…気付かない。
ふいに彼の手が動いた。
自分の顔を両手で覆っている。
『……?』
その手の隙間から零れた一粒の雫。
俺ははっとして、一番大きく叫んだ。
「ヤマト!!!!」
声が出た。
名前を呼ばれて驚きこちらを振り返る。
その青い瞳は濡れていて。
途端に闇が深さを増す。
俺は焦って手を思いきり伸ばした。
届かない。
走っても走っても、縮まらない距離。
ただただ真っ暗な闇がヤマトを連れていく。
届いてくれ!!
届け!!
「 ヤマト !! 」
バシッ
「…恥ずかしいやつ。」
目を開けると、空の様な青い瞳がそこにあった。
「…え……あれ…?」
天井を仰いで、右手を高く伸ばしている太一。
「…おれ…」
呆然と見つめるその手の少し先で、ヤマトが眉間にシワを寄せて太一を覗いていた。
「人んちのソファーで寝るのは勝手だけどな、…泣きながら俺を呼ぶのはやめろ。」
そう言うとヤマトが先程目覚まし時計代わりに頭を叩いた雑誌を、太一の顔にバサッと落とした。
「えっ…泣くって…うわっ!」
雑誌がずれて床に落ちる。
「テレビくらい切れよ。」
サッカー中継が終わった後のけたたましいバラエティー番組をヤマトは消した。
途端に訪れる静けさ。電子音がどれほど騒がしいか、よくわかる。
「……」
太一はソファーの背に首を預けたままに顔を触ると、確かに目の辺りが濡れていた。
「なに?俺が死んだ夢でも見たか?」
くくっと背中で笑う声は本気で笑っていなくて。
太一は自分の掌をじっと見つめて言う。
「…違う。泣いていたのはお前だ。」
「は?」
ヤマトが振り返った瞬間、太一がぐっと胸倉を掴んでヤマトを引き寄せた。
「!」
「捕まえた。」
鼻先があたる、そんな距離。
「なっ…―」
目の前にある太一の最高の笑顔。
一番好きで一番弱い顔。
ヤマトは言葉につまった。
それに…顔は絶対に赤い。
そう思ったら恥ずかしくなって、太一の目を隠す様に額に手をあてると、ぐっと引きはがした。
「寝言は寝て言え。」
「なんだよーもう少しでチュー…」
「太一、みんなに言うぞ?『中二にもなって夢見て泣いてました』ーてな。」
「え…いや、それはヤマトが…―」
「人のせいにするな。お前が勝手に見た夢だろ。」
「……わかった。ごめん。」
ヤマトはよし、と頷いて踵を返した
…―はずだった。
ガッシリ掴まれた右腕。その向こうには太一の無垢な笑顔。放たれた言葉。
「じゃ、キスしよーぜ♪」
全然わかってねぇ!!
ヤマトはそんな絶叫をしたくなる気持ちを冷静に飲みこんで、諦めという溜め息に変える。
どちらからでもなく重なる唇。
熱と同時に伝わる思い。
あの夢はきっと昔の俺達だ。
別々の環境で育った二人の心の距離。互いを認めようとも、理解しようともしなかった。
封印されていた勇気。
封印されていた友情。
何も届くわけがない。
けれど今は…―
「ヤマト」
「?」
声も、腕も、包みこめるくらい近くにいる。
そして
「ずっと一緒だから。ヤマトが嫌だって言っても、離さないからな!」
思いは言の葉に乗せて、いつまでも…―
fin
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